すきなものたち。

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

すきなものたち。

好きなもの、好きなこと、日々の出来事について語っています。

『ふたりのベロニカ』/同じ日に生まれた、同じ顔、同じ声のもう一人の自分に導かれて。

【スポンサーリンク】

 

ふたりのベロニカ Blu-rau [Blu-ray]

ふたりのベロニカ Blu-rau [Blu-ray]

 

 

 

基本情報

 

監督:クシシュトフ・キェシロフスキ

出演:イレーヌ・ジャコブ

製作:1991年/フランス・ポーランド

 

ざっとあらすじなど。

ポーランドとフランス。

別々の場所に、同じ日に生まれ同じ顔をし、同じ名前を持つふたりのベロニカが辿る数奇な運命と真実の愛のお話。

 

綺麗な映画でしたが、難しくてあんまりわからなかった部分もありまして。

鑑賞後、解説サイトを見たりして補完しました。好きな人は好きなんだろうなぁと思いますが、私は途中眠くなりつつ…。

あ、つまんなかったとかじゃなくて、とっても綺麗でうっとりさせられる作品でした。でも深く考えるとわけわかんなくなりそうだった。

 

どうして2人いるのか?

それは何を象徴してるのか?

 

そんなことを考えていたら、こんがらがってしまって私には観られなかったと思います。だから、流れに身を任せることにしました。

目の前の、どこか儚げな雰囲気を漂わせる女性ベロニカが、夢と現のはざまにあるような幻想的な世界で、真実の愛に出会う道のりをちょっとぼんやりしながら見つめていました。

 

ヒロインを演じているイレーヌ・ジャコブの美しさは必見。

 

ポーランドのベロニカ

 

ポーランドの田舎の町に暮らすベロニカはピアニストを目指していたが、指のけがで断念し、小さな合唱団で歌を歌っていた。恋人もいて穏やかな日々を過ごしていたが、突然、恋人に別れを告げ、叔母の住む町に行く。

 

車窓から外の景色を眺めるベロニカ。

窓ガラスのわずかなゆがみが、彼女の見る景色にゆらぎを与え、どこか非現実的な、儚げで消えてしまいそうな風景に見える。さらに彼女はスーパーボールを取りだし、ボールを通して世界を覗き込む。そこにはさかさまに映し出された世界があった。

 

友人の紹介で、ソプラノ歌手のオーディションを受け、その美しい声で見事合格を勝ち取る。その帰りに、デモ行進に遭遇したベロニカはバスの中に自分とそっくりの女性がおり、カメラで写真を撮っているのを見かける。

 

その直後に、彼女の心臓にするどい痛みが走る。

彼女は自分でも知らなかった、生まれながらの心臓の病を抱えていた。

 

そして舞台の当日、美しいソプラノで観客たちを圧倒していたベロニカだが、彼女の心臓はそれに耐えきれず、そのまま死んでしまった。

 

フランスのベロニカ

 

その頃、ベロニカは急激な喪失感に襲われ、涙が急にこみあげてきた。いったいそれが誰のための涙なのかもわからない。そして彼女は、その才能を惜しまれながら、突然音楽の道を進むことを止め、音楽教師になる。

 

ベロニカはなぜか「一人になった」と感じるようになっていた。理由のわからない喪失感が彼女の胸に広がっていた。

 

そしてある日ベロニカは、学校にやってきた人形使いの男性に恋をする。

その日から、何かに不思議な力に導かれるように、名も知らぬその男性へと結び付けられてゆく。

 

差出不明の謎の手紙。

窓から差し込むまばゆい光。

届けられた1本のカセットテープ。

 

偶然と作為。

神様のいたずらのようにも思える、不思議な手がかりを辿って、何かに導かれるようにベロニカは少しずつあの人形遣いに近づいてゆく。

小包の消印、カセットテープに録音された音や声を頼りに、とあるカフェにたどり着くと、そこにはあの人形遣いアレクサンドル・ファブリがいた。

 

「ずっと待っていたの?」

「謝るよ。来ないと思っていた。」

 

ようやくファブリに会えたベロニカだったが、彼は「女性心理の可能性」をテーマに大人向けの本を書いてみたいと考えており、そのために大人の女性が見知らぬ男に呼び出されて本当に来るかどうかを確かめたかったのだという。

その言葉にショックを受けたベロニカは、席を立ち、その場を走り去る。

 

しかし、ファブリはベロニカが泊まっているホテルにまで追いかけてきた。

 

ベロニカは眠り、そして夢を見た。逆さに映る教会の夢。

それはかつて、ポーランドのベロニカが車窓から見た風景だった。

 

ホテルの一室で眠るベロニカをファブリが見つめている。その視線に気づいたようにベロニカは目を覚ます。

 

「愛している。」

「私もよ。」

 

そう愛を交わしながら、二人はキスを交わした。

 

「なぜ君を選んだかわかった。本とは関係ない。」

「わかっていたわ。私には霊感があるの。いつも別の場所にいるような気がしていた。いつも先のことがわかるの。」

 

総てを知りたいというファブリのために、ベロニカは鞄の中身を取り出して見せる。

そこにはポーランドのベロニカが持っていたのと同じスーパーボール。

そして、かつてポーランドを旅した時の写真が入っていた。その写真に、もう一人のベロニカが映っていることにファブリが気づく。

 

「これは君だね?」

 

しかし、それは自分ではなかった。着ている服が違う。バスの中から取った写真なのだ。自分がバスの外にいるはずもない。驚いたような表情を見せているもう一人の自分。彼女はバスの中に自分と同じ顔をした女、つまり「私」を見つけたのではないか?

 

やはりもう一人の自分が存在していたのだ。

涙を流すベロニカをファブリは抱きしめ、二人はそのまま結ばれた。

 

暗闇に浮かび上がる赤いベッド。その赤に包まれてファブリに抱かれる切ない表情のベロニカは非常に美しく、荒い息遣いと声がホテルの部屋に満ちる。

そのベロニカを写真に写ったもう一人のベロニカが見つめており、ベッドの上に転がったスーパーボールが揺れていた。

 

もう一人のベロニカが愛する男にめぐり合わせてくれたのだ。ベロニカはそう思った。

 

ファブリはベロニカの人形を作っていた。

 

「どうして2体なの。」

「酷使するからさ。壊れやすいんだ。」

 

ファブリは小説の構想についてベロニカに語る。

別々の場所に生まれた二人の女性の話で、タイトルは「ふたりの…。」

 

ベロニカは傷ついたような表情を見せ、何も言わずにファブリの元を去った。

 

詩的な世界が美しい。

 

とにかく美しいのです。

冒頭の、さかさまに映った夜景からもう美しかった。

そしてOPで流れるポーランドのベロニカの歌声。

 

フランスのベロニカとファブリが出会う人形劇のシーン。ベロニカは人形劇ではなく、暗闇の中でガラスに映り込んだ人形遣いの表情に引き付けられる。

 

道をよろよろと歩いてゆく老人。

確か『トリコロール』にも出てきた気がする。

 

ベロニカの見る夢。

ボールの中に映し出される逆さの世界。

夕方の金色に満ちたベロニカの部屋、等々。

 

儚げで、水の中をたゆたうような詩的なシーンが溢れています。

まあ、そのシーンにどんな意味があるの?とかは考えない方がいいのかな。少なくとも私には難しいことはわからない。

ストーリー的にはあまり深い意味を求めることなく、ただその美しさを堪能するためにその世界にゆっくり浸かって観るとよいのかも。

 

その一方で、わずかな手がかりを辿って、あの人形遣いにたどり着くまでの過程はサスペンスのような緊張感もあります。

 

どうして、フランスのベロニカは惜しまれる才能があったのに突然音楽を辞めてしまったのか?

それは音楽で命を失うというポーランドのベロニカの経験を、共有したからなのでしょうね。ベロニカはベロニカに命を救われた、ということなのでしょう。

 

ベロニカが泊まった部屋が、かつてもう一人のベロニカが泊まった部屋番号と同じだったり。ベロニカのオーディションに同席していた女性が、もう一人のベロニカに遭遇して怪訝な顔をしたり。二人の世界は確かに別々に存在し、そして時折少し交錯しています。

 

どうしてラストシーンでベロニカが傷ついたような表情を見せたのか?

 

私は「(人形を2体作ったのは)酷使するので壊れてしまうから。」というファブリの言葉にショックを受けたのかと思いました。

まるで「酷使されて壊れてしまうから、神様はもう一人の自分を作ったのだ。」という意味にも思えたので。実際に一人はすでに死んでしまっているし。奇跡のように感じていたもう一人の存在が、実は神様の残酷な作為だった、というような…。

 

解説サイトを見てみると、いろいろ。

自分にとって特別な運命の物語を小説として出版しようとしているファブリに失望したとか。なるほど。そういうことか。確かに奇跡のようなふたりのベロニカを、お金もうけには使われたくない。

 

きっと正解はないのだと思うので、自分なりに答えを見つけてみて、他の人の解釈と比べてみるのも楽しいのかも。いろいろ詳しく書いてくださっている方がいて、参考になりました^^

 

一番わからなかったシーン。

 

ポーランドのベロニカが最初に心臓発作を起こして苦しんでいると、前から一人の男が歩いてくる。なぜかその男が、露出狂だったこと。

座り込んで苦しむベロニカの前で、コートをはだけさせて、チラっと見せてゆきます…。

モザイクかかっていたから、本当に履いてなかったんだろうと思うのですが。

 

まあ、そのおかげで?気がまぎれたのか?ベロニカの心臓発作はとりあえず収まるのでした^^;

これは、本当に意味不明。頭の中に????がいっぱいでした。

誰かいい解釈があれば、教えて欲しいくらい。。