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『サンドラの週末』/過酷な週末を乗り切った先に…。マリオン・コティヤールがアカデミー賞にノミネートされた社会派ドラマ。

本日の映画は『サンドラの週末』

どんより重く心を締め付ける作品を生み出し続けるダルデンヌ兄弟と、美しいのに幸薄い女性を演じることが多いマリオン・コティヤールが贈る、全然楽しくもなんともない、サンドラの週末を描いた作品です。

こんな週末は絶対にいやだ!!と心から思うことでしょう。

本作はHuluで鑑賞しました。

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『サンドラの週末』

監督・出演・製作 基本情報

監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:マリオン・コティヤール
製作:2014年/ベルギー・フランス・イタリア

主人公サンドラを演じたマリオン・コティヤールは、この作品でアカデミー主演女優賞にノミネートされました。

ちなみに受賞したのは『アリスのままで』のジュリアン・ムーア。アルツハイマーに冒された女性を演じるジュリアン・ムーアの演技は必見です。

監督のダルデンヌ兄弟は社会的弱者や貧困をテーマにした重苦しくも見ごたえのある作品をいくつも生み出しており、カンヌ映画祭でパルムドールを2度も受賞しています。

パルム・ドールを受賞した『ある子供』はクソみたいな親が赤ん坊を売り飛ばすという、あらすじだけでウツになりそうなお話です。

▼ダルデンヌ兄弟の作品は他にも観ています。

『サンドラの週末』のあらすじ

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出典:サンドラの週末 : 作品情報 – 映画.com

病気で休職していたサンドラが職場復帰をしようと思ったら、突然解雇を言い渡されてしまった。それが金曜日。

生活のために仕事を失うわけにいかないサンドラは納得がいかず、予定通りの復職を訴える。そして社長から解雇を免れるのたったひとつの方法が提案される

それは16人の同僚たちによって投票を行わせ、、

ボーナスを放棄してサンドラを復職させるか、それともサンドラをクビにしてボーナスをもらうか。

いずれかを選ばせようとするものだった。

投票が行われるのは月曜日。

その投票で皆にサンドラの復職に投票してもらい、過半数の賛成を得ることができたら、サンドラは予定通り復職できる。

サンドラは週末に同僚を一人一人たずねて、ボーナスを放棄してもらうように説得にあたることになります。

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感想(ネタバレあり)

直接的な結末には言及していませんが、雰囲気はネタバレしています。

サンドラの辛すぎる週末…。

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出典:サンドラの週末 : 作品情報 – 映画.com

つ、辛すぎる、こんな週末。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン

サンドラも同僚たちも決して裕福ではないのです。彼らが勤めるのは、従業員16名の零細企業で、経営も芳しくない様子。皆が生きていくのに精一杯なんです。

なんというか、観ていて心がえぐられて息苦しくなりました。

サンドラは子供を抱え、夫の給料だけでは生活がままならない状態。長い間体調を崩して休職していて、ようやく復職できる状況になったと思えば、いきなり解雇。

非常に気の毒。しかし、同僚たちにもそれぞれ事情がある。自分と家族の生活を守らなければならないので、ボーナスを選ぶという人を責めることはできない。

だからサンドラも全然ボーナスを選ぶ人たちを責めたりはしない。皆の苦しい事情は彼女自身にもわかっている。わかっているからこそ、より辛いのだ。

まあ、よくもこれほど酷な条件を出すかと思いました…。正直、社長の正気を疑いますよね。

最初から一貫してサンドラの味方をしてくれる人もいれば、生活のためにボーナスを選ばざるを得ず、罪悪感から涙を流して謝る人がいる。

直接話をするのは気まずいせいか、子供を使って居留守を使ったり、まったく聞く耳を持たずにサンドラを追い返す人がいたり、怒って暴力的になる人もいる。嫌味、皮肉、さらには罵倒の言葉を容赦なく浴びせられる。

社長の提案は、同僚たちのプライベートにまで亀裂を入れることになり、サンドラの味方するために夫と口論になってしまった結果、離婚を決めた人まで出てくる…。

同僚の中には苦手な人、仲の悪い人もいるだろう。そんな人に頼みごとをするのがそもそも嫌だ…。

私の苦手なあのお局に、そんなお願いができるだろうか?

想像しただけで吐きそうです…。

「解雇の撤回」をお願いするということ。それは、「解雇=会社には必要がない、会社には価値がない」と判断されてしまったサンドラに価値があることを認めてくださいって、サンドラ自身が頼んで回ること。

ボーナスよりも、サンドラが会社に残ることの方が価値があるって、認めてくださいって頼んで回ること…。サンドラのプライドはズタズタだ。

プライドを捨てて、心を無にして頼んでも、

「あんたが休職中にもちゃんと仕事は回っていたよ、だからあんたはいらないよ。」

と、同僚から言われてしまったりするのです。休職前の真面目な仕事ぶりもすべて否定されてしまった気になる…。もう耐えられない。

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出典:サンドラの週末 : 作品情報 – 映画.com

サンドラは精神的にも肉体的にも非常にきつそうで、どんどん憔悴していきます。

どうやら彼女の病気はうつ病らしく、薬も服用している。肉体と精神の耐えがたい疲労に、サンドラは何度も諦めて解雇を受け入れようとするけれど、そのたびに夫に励まされ、立ち上がる。

こんな条件を出す社長の思考がそもそも理解不能なのですが、きっと、サンドラが本当に説得に回るとは思わなかったのでしょうね。これほどの酷い条件を突きつければ、サンドラは黙って解雇になってくれると予想していたに違いない。

もしも自分だったら…と考えると、きっと戦わずして解雇を受け入れてしまうと思う。

しかしサンドラは戦う。

サンドラの姿に心を動かされた同僚たちはサンドラのために、一人、また一人と賛成に回ってくれる。きっと彼女の今までの真面目な仕事への取り組みや人柄を評価してのことなんだろう。やるべきことはすべてやり、サンドラは月曜日を迎えます。

週末を乗り切ったその先に…。

そしてやってきた月曜日。

投票の結果がもたらされ、社長からの新たな提案がなされ、それに対するサンドラの決断が下されます。

すがすがしい表情で、しっかりを前を向いて歩いてゆくサンドラ。とてもよい表情でした。彼女は自分に恥じないベストの決断をしたのです。

過酷な週末を乗り切った先には、サンドラらしい選択がありました。そしてそれを夫も受け入れます。

それはそれで、また別の苦しみや辛さが待っていると思うのですが、少なくとも自分自身を恥じる必要はないし、罪悪感に苦しんだり自分自身を責めなくてもいい。

病気のこともありますし、長い目で見ればやはりサンドラの決断は正しかったのだと思いました。もしかしたら、この経験と決断が彼女を強くしたかもしれません。

地味な作品ですが面白かったです。とても濃厚なシチュエーションなのでちょっと疲れますけれどもね…。それにしても、マリオン・コティヤールはいつも幸薄い感じの役どころを演じている気がします。

以上、『サンドラの週末』の感想でした。

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