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好きなもの、好きなこと、日々の出来事について語っています。

『フライト』/彼は英雄か、犯罪者か。デンゼル・ワシントンがクズ過ぎるので驚いた。

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フライト [DVD]

 

Huluにて鑑賞。 

私、すっかり勘違いしていたのですが、『ハドソン川の奇跡』とは関係がないらしい。てっきり同じ事故をモチーフにして作られた映画だと思ってました…。 

 

航空機事故に遭遇しながら冷静な判断と熟練の技術で乗り切ったパイロットが事故の責任を追及される羽目になり、無実を証明するために戦う。そんなお話だと思っていたのですよ。

 

『ハドソン川…』のトム・ハンクスが「善き人間」の見本みたいな人格者だったので、今回のデンゼルも今までのイメージも相まってそういうタイプの役だとばかり思っており、いつ本領発揮するんだ?と待ち続けたのですが、ほぼ全編にわたりクソでした。

 

2時間を超える作品ですが、そのほとんどがウィトカー機長がいかにクズか、どこまで堕ちるか、みたいな展開が続きますので、デンゼルの優しい笑顔を期待して観ると心がざわめいてしまうかもしれません。(←私です。)

 

 

  

『フライト』

 

基本情報

 

監督:ロバート・ゼメキス

出演:デンゼル・ワシントン/ドン・チードル/メリッサ・レオ/ジョン・グッドマン

製作:2012年/アメリカ

 

あらすじ

「フォレスト・ガンプ 一期一会」のロバート・ゼメキス監督がデンゼル・ワシントンを主演に迎え、「キャスト・アウェイ」以来12年ぶりに手がけた実写作品。フロリダ州オーランド発、アトランタ行きの旅客機が飛行中に原因不明のトラブルに見舞われ、高度3万フィートから急降下を始める。機長のウィトカーはとっさの判断で奇跡的な緊急着陸に成功。多くの人命を救い、一夜にして国民的英雄となる。しかし、ウィトカーの血液中からアルコールが検出されたことから、ある疑惑が浮上し……。第85回アカデミー賞で主演男優賞、脚本賞にノミネートされた。

フライト : 作品情報 - 映画.com

 

 感想(ネタバレあり)

 

デンゼル・ワシントンがクズです。

 

善き人、善き父、善き夫のイメージの強いデンゼル・ワシントンが本作ではクズです。

 

冒頭から何やら乱れた雰囲気がありました。

ベッド脇のサイドテーブルに酒瓶がいくつも並んだ薄暗い部屋で、一夜をすごした男女が目覚める。(女性は全裸。もちろんポロリですv(*'-'*)OK!

 

別れた元妻から電話がかかってきて養育費を巡る険悪なやりとりと繰り広げつつ、起き抜けに酒を煽り、さらにドラッグをキメてからフライトに臨むというトンデモぶり。

 

涙の感動作だと思って観始めたので、この時点で「あれ???」みたいな状態だったわけですが。この「あれ??」が終盤までずっと続きます。

 

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Furaito (2012) - IMDb

 

嵐の中を離陸して、見事な操縦で乱気流を抜けるシーンで、ウィトカーが優れた操縦技術を持ったパイロットで、長年の経験に基づいた本能的な状況判断ができて、しかもちょっと無茶もしちゃう人物なんだなってわかる。酔っぱらった状態でもそれができちゃうこともわかる。(←前提がだいぶおかしい。)

 

本作はアカデミー脚本賞にノミネートされたのですが、冒頭からここまでで、主人公ウィトカーの人となり、アルコール&ドラッグへの依存、同僚CAと恋人関係にあること、元妻と養育費を巡るプライベートのごたごた、お酒飲んで操縦しちゃうけど有能であることがすっきりと頭に入ってくるわかりやすさは見事なものでした。

 

この時点でウィトカーがクズないしはクソであることがよく伝わってまいりますが、これはまだまだ序の口。さらにクズ度が増してゆきます。

 

乱気流を抜け乗客たちに笑顔で状況説明をしながら、ウォッカをオレンジジュースに混ぜて操縦室に持ちこんじゃう。

 

 

 ええ、ドン引きです。

 副操縦士もウィトカーのただならぬ様子にドン引きしており、その表情は観客の心を代弁してくれています。

 

お酒を飲んてでもスゴいんです。

 

 さてさて。

ウォッカ&ドラッグのおかげですっかり酩酊状態にあるウィトカーを、飛行機の機体トラブルが襲います。

 

ウィトカーさん、酩酊状態にあってもスゴいんです!!

 

突如急降下を始めコントロールを失った飛行機は墜落寸前となりますが、背面飛行でしのぎ、人気のない野原に不時着させるというトンデもない荒業を披露して多くの命を救うのです。

 

この飛行シーンが手に汗を握るほどの大迫力!

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戦闘機が背面飛行したり回転するシーンは見かけますが、乗員乗客102名を乗せた旅客機がぐるんと回転して飛んでいく(落ちていく)姿は圧巻。さすがロバート・ゼメキス!といった感じで、このシーンだけでも観る価値は十分あります。

 

 大事故ではありましたが、102名のうち96名の命は救われました。

ありえないアクロバティックな飛行術で人々の命を救ったウィトカーは一躍英雄となりますが…。

 

お酒が止められないんです。

 

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Furaito (2012) - IMDb

 

事故直後の血液検査の結果、ウィトカーの体内からはアルコールとドラッグが検出されてしまう。

 

事故の原因はあくまでも機体トラブル。

通常であれば墜落していた。

それを救ったのはウィトカーである。

 

しかし、酒を飲んでいなければ6名の命は失われなかったのではないか?

もしも飲酒と6名の死に因果関係が認められれば、ウィトカーは終身刑になってしまう。

 

という状況で、ウィトカーと航空会社は事実を隠ぺいしようとする\(`o'") こら-っ

もしバレたら賠償金で会社もトンでしまうってことで、血液検査の報告書なんて握りつぶしますと、弁護士のラングさんが断言\(`o'") こら-っ

 

ラング弁護士やパイロット組合の幹部でウィトカーの古い友人のチャーリーがウィトカーを救おうと奔走するわけですが。

 

当の本人はアルコールに溺れています(゙ `-´)/ コラッ!!

 

いったんは止めようとするのですね。退院してすぐにドラッグも酒も全部捨てるのです。でもまた買ってしまうのです(;`O´)oコラー!

 

そもそも自身のアルコール摂取が問題となっている状況です。

監視されてるから飲むなと言われてもいます。

 

飲むなと言われているのに、飲む。
酒は止めたと嘘をついたそばから飲む。
クルマを運転しながらも飲む。
 
自己保身のために同僚CAに偽証をするように迫ったり、
どうにもなりそうにないっていうので、ジャマイカに逃げようとしたり、
入院中に知り合った新しい恋人のニコールに暴言を吐いたり、
元妻の家の押しかけてむすこに追い出されそうになって警察沙汰になったり。

 

とにかくくずっぷりがすごい。

あまりにヒドくて、いらいらしっぱなしだった(≧ヘ≦) ムゥ

 

極め付けが公聴会の前日。

チャーリーの協力もあって9日間の断酒に成功し、いよいよ明日!という前夜に、なんとまた飲んでしまう…。

 

チャーリーとラング弁護士が迎えに来たら泥酔してトイレの便器で頭を打って血を流して意識を失っているウィトカーの姿がありました。 

 

 

どーすんの?って思うでしょ?

もうこれは終わりやな~と誰もが思ったと思うけれど、ここでドラッグの売人ハーリンがノリノリのハイテンションで登場。

 

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Furaito (2012) - IMDb

 

え?この状況でドラッグ??って思ったら、なんと!!

酒の酔いをドラッグで醒ますという必殺技が存在したのです。

 

そんなことができることを初めて知ったので、「冗談でしょ?!」って思った。冒頭のドラッグも酔いを醒ますためだったらしい。

 

 

彼は英雄であり続けるのか?それとも?

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Furaito (2012) - IMDb

 

なんとかたどり着くことができた大事な公聴会。(ウィトカーを追及するのは『フローズン・リバー』のメリッサ・レオ。)

「酒なんぞ飲んでない。」としらっと嘘をつきまくってなんとか乗り切れそうになったとき。最後の質問に、ウィトカーは明らかに動揺の表情を見せる。

 

それは「酒を飲んだのはCAのトリーナではないか?」という質問。

ウィトカーの検出されたはずのアルコールはいつのまにかトリーナから検出されたことになっており、彼女がアルコール依存症であったことも明らかにされる。

 

ここで嘘をつくことができたなら、ウィトカーは英雄でいられるはずだった。

しかし、恋人でもあり勤務中に少年をかばって死んだ女性に罪をなすりつけることはできなかった。

 

「酒を飲んだのは私だ。」ウィトカーは真実を述べる。

 

 結果としてウィトカーは刑務所に入ることになるわけですが、そこには酒を断ち晴れ晴れとした顔で「自由になることができた。」と語るウィトカーがいました。

最後の最後で人間としての誇りを失わなかったおかげで息子とも良好な関係を取り戻し、人生を取り戻すことができたわけですね。

 

もしも嘘をついていれば、今も空を飛んでいたかもしれないが、その代わりにもっと大切な何かを永遠に失ってしまっていたはず。

 

 まとめ&気になったこと

 

 当初想像していたような事故の謎を解明するサスペンスというよりは、ダメ人間が自分自身と人生と向き合い立ち直りの道を歩みはじめる、そんなお話でした。

「アルコール依存症」というのは、常識では考えられない行動を取ってしまうものなんだなぁと 、改めて感じました。心が弱いから酒が止められないとか、精神論じゃなく。

 

印象的だったシーンがいくつかあって。

ニコールに誘われた参加した断酒会で、「アルコール依存症の人は?」と聞かれて一人だけ手を挙げることができなかったシーン。

この期に及んで、自分が依存症であることを認められないのですね。

 

まずは自分が依存症であることを認めることが酒を断つための第一歩かと思いますが、そのきっかけがウィトカーにとって「公聴会」だったんですね。作品中「神」や「運命」という言葉が何度か登場したのが印象に残っていたのですが、この公聴会はウィトカーに神が与えた最後のチャンスだったのかもしれませんね。

 

それから公聴会の前日のホテルでのシーン。

冷蔵庫の中に酒がないのを確認したときのウィトカーの指の動き。じれるような、苛立つようなしぐさ。飲んではいけないのについ酒を求めてしまう様子、酒がなくてほっとしているような苛立っているような複雑な様子が、「酒を断つ」ことの難しさを感じさせました。

 
そして運の悪いことに隣の部屋への扉が空いており、そこの冷蔵庫には酒があった。
考え込みおそるおそる酒瓶に手を伸ばすものの、一度は意を決して瓶を置いたのに、結局手を伸ばしてしまう。
本人を映さずに手の動きと酒瓶に焦点を合わせることによって逡巡を表現した見事なシーンでした。

 

 デンゼル・ワシントンが好き。

 

好きな役者さんはたくさんいますが、「強化週間」や「祭り」と称して出演作品をえんえん見続けるというイベントを自主開催するほどまでに好きな役者さんはそれほど多くありません。デンゼルはその一人であります。(他にはジョニー・デップとヒュー・グラントなど)

 

  言われなき差別を受けるエイズ患者を弁護する『フィラデルフィア』、

幼い少女のボディガードとなって不器用な交流を深めていく『マイ・ボディガード』、信念を曲げることなく上官に逆らい世界を核戦争の危機から救う『クリムゾン・タイド』etc

たくさんの名作に出演していますが、最近では第89回アカデミー賞で4部門にノミネートされた『フェンス』で主演・監督を勤めていて今から日本公開が楽しみです。

 

デンゼル・ワシントンが『狼よさらば』に出演してるらしい。

 

今回、デンゼルの過去の出演作を再確認していて気付いたのですが、デンゼル・ワシントンが『狼よさらば』の路上強盗の一人としてノンクレジットで出演しているらしいのですが、気付きました?!

 

ジェフ・ゴールドブラムはわかるのですが、デンゼルさん出てたっけ?ブロンソンに成敗されちゃった人かなぁ。路上強盗がたくさん出てくるからわからない。今度観る機会があったら目を皿にして探します。

 

以上、フライトの感想でした。

短くまとめるつもりがまた長くなりました…。

最後まで飽きずに読んでくださった方、ありがとうございます。

 

 

 関連作品

☆デンゼル・ワシントン出演作品☆

エイズ患者への差別を取り扱ったシリアスな法廷ドラマです

 

☆メリッサ・レオ出演作品☆

 貧困の中で犯罪に手を染めていくシングルマザーのお話です。

 

 ☆トム・ハンクス主演の実話を元にしたパイロットのお話。本作とは別物です☆