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『スノーデン』/彼はなぜ祖国を裏切ったのか?世界を震撼させた一人の元CIA職員の実話に基づく物語。【ネタバレあり】

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世界最高の情報機関を反旗を翻し、アメリカの重要機密の内部告発を行った一人の元スパイ・エドワード・スノーデンの物語。 

 

主演はジョゼフ・ゴードン=レヴィット。

『(500)日のサマー』を観て以来、彼が好きです。

 


(500)日のサマー【Blu-ray】 [ ジョセフ・ゴードン=レヴィット ]

 

本作もジョゼフ目当てで鑑賞してきました。作品のたびに役になりきって別人になり替わってしまうジョゼフですが、本作でもその確かな演技力は健在。口調と声音がまるで別人。きっと本人に似せてるんでしょうね。

  

2013年6月。

イギリスのガーディアン紙が衝撃的なスクープを報じる。それはアメリカ政府が全世界の情報を収集し、テロには無関係な個人、民間企業、同盟国までをも監視していたという実態を暴いたものだった。

 

このニュースが世界を駆け巡ったときかなりの大騒ぎだったの思うのだけれど、私は全く記憶がないのである。当時の私はブラックな会社を辞める辞めないでかなり病んでいたので(苦笑)世間のことすべてに興味を失っていた。ずーっと後になって、こんな人がいたんだぁって知った。

 

この恐ろしい個人情報監視の実態を明らかにしたのが、エドワード・スノーデン。29歳の若者。彼はアメリカ政府の施設から大量の情報を持ち出し、それを匿名ではなく本名&顔出ししてすべてを暴露した。命を狙われてもおかしくない状況だろうに…。

 

この作品はエドワード・スノーデンがCIA職員になってから、内部告発を行うまで、2004年から2013年までを描いています。

 

 

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 『スノーデン』

 

基本情報

 

監督:オリヴァー・ストーン

出演:ジョゼフ・ゴードン・レヴィット/シャイリーン・ウッドリー/メリッサ・レオ/ザカリー・クイント/トム・ウィルキンソン/ニコラス・ケイジ/スコット・イーストウッド

製作:2016年/アメリカ・ドイツ・フランス 

 

監督のオリバー・ストーンは『プラトーン』『7月4日に生まれて』で2度のアカデミー賞を受賞している。

あらすじ

 

ハリウッドを代表する社会派監督オリバー・ストーンが、アメリカ政府による個人情報監視の実態を暴いた元CIA職員エドワード・スノーデンの実話を、ジョセフ・ゴードン=レビット主演で映画化。2013年6月、イギリスのガーディアン誌が報じたスクープにより、アメリカ政府が秘密裏に構築した国際的監視プログラムの存在が発覚する。ガーディアン誌にその情報を提供したのは、アメリカ国家安全保障局NSAの職員である29歳の青年エドワード・スノーデンだった。国を愛する平凡な若者だったスノーデンが、なぜ輝かしいキャリアと幸せな人生を捨ててまで、世界最強の情報機関に反旗を翻すまでに至ったのか。テロリストのみならず全世界の個人情報が監視されている事実に危機感を募らせていく過程を、パートナーとしてスノーデンを支え続けたリンゼイ・ミルズとの関係も交えながら描き出す。

 引用元:http://eiga.com/movie/81862/

 

感想(ネタバレあり)

 

監督は社会派で知られるオリバー・ストーン。

実はあまり得意な監督ではなく観る前には少々警戒感を抱いていたのですが、これが意外に大丈夫だった。

オリバー・ストーンと言えば、政治的な主張が目立ちすぎるというか「くどい」と感じてしまう時があって若い頃に苦手意識を持ってしまったのだけど、この作品ではかつて苦手に思った「ぎらつき」は感じず、むしろ抑え気味になっていたように思う。

 

国を守りたいという理想を持っていた青年が理想と現実のはざまで苦しみ追いつめられてゆくさま、国家の安寧か個人の自由かで揺れ、最後には祖国や華々しいキャリアを捨てて、「国を裏切る」までを丁寧に描いていた。

 

 

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物語は2013年6月スノーデンと記者が接触しその告発が報道される様子と、スノーデンの過去が交互に描かれてゆく。メインは過去パートだが、この記者とのパートも緊迫感十分。特にメリッサ・レオの役どころが好き。気骨のあるかっこいい女性記者を演じている。

 

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2004年.特殊部隊員になるべく陸軍に入隊し、厳しい訓練に耐えていたスノーデンは怪我により不本意ながらも除隊することになる。しかし「祖国に尽くしたい。」との思いは変わらず、CIAへ。

 

「平時なら採用しない。しかし今は平時ではない。(だから採用する)」

 

2001.9.11の同時多発テロが起き、テロ対策で人員が必要だったためでしょうか。

ぎりぎりで採用された形での入局だったが、スノーデンは天才的な頭脳とプログラミング能力を発揮し、その働きが認められてゆく。

しかし、彼はスパイになるには繊細すぎて善良すぎたのかもしれない。

 

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赴任したジュネーブで彼が見た現実。

それはありとあらゆる個人情報を覗き見て監視し、時には弱みを見つけだし陥れ思うがままに操ろうとする、人を人とも思わぬやり口が当たり前のような実態だった。

 

「ここまでやるのか??」

 

スパイ映画に登場するような国際的な情報監視網。これが決して夢物語やフィクションではないことに驚愕するばかり。たしか『ジェイソン・ボーン』でもこんな監視システムを稼働させようとしてませんでしたっけ?

 

Eメール、フェイスブック、電話、挙句の果てには自宅のPCのカメラを作動させて行われるリアルタイムの盗撮。「テロ対策」の名のもとにアメリカがここまでやっていたことも驚きなのだけど、そもそも、これが現実に「実行できる」ことだという事実に愕然とする。私のPCだって覗かれちゃう危険も。何にも悪いことはしてないけど、嫌なもんはイヤだ。

 

テロに無関係の民間企業 のサーバーに直接侵入し、同盟国である我が国日本にまで、「もし日本が同盟国でなくなった場合」のためにマルウェアを仕込む。日本からすべての灯りが消えるシーンはぞっとしてしまった。。

 

難しい専門用語やシステムのことは全くわかりませんが、どのように世界中に監視網が張り巡らされているのか、CGを使ったわかりやすい映像によってイメージしやすいモノとなっている。なので苦手意識は持たなくていいかも。私でも大丈夫だったから。でもプログラミングがわかる人ならもっと面白いのかもね。

 

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仕事のみならず、恋人リンゼイとの生活を描くことによって、映画の中のスノーデンはごくごくありふれた若者らしい表情も見せてくれる。リンゼイにカメラを向けられて恥ずかしそうにポーズを取るシーンとか、めちゃ好き。スノーデンの好感度一気にUP。

 

スノーデンの恋人リンゼイを演じるのはシャイリーン・ウッドリー。

『きっと、星のせいじゃない』で余命わずかなティーンを演じ、その後も『ダイバージェント』三部作への出演など、これからのステップアップが期待される若手女優さん。

 


きっと、星のせいじゃない。<特別編> [ シャイリーン・ウッドリー ]

リンゼイと一緒にいるときのスノーデンって、本当に普通の青年なのね。線が細くてダサくて、オタクっぽい。本当に特殊部隊希望だったの??って驚いちゃうくらいインドア派な素朴な若者。

 

愛する恋人にさえ仕事内容を話すわけには行かず、当初リンゼイに見せていた笑顔も消えてゆき、強いストレスは持病のてんかんを悪化させスノーデンは倒れることになってしまう。すれ違いと衝突を繰り返しながらもリンゼイはスノーデンに寄り添い続ける。

二人の私生活を丁寧に描いてくれたからこそ、スノーデンという人物がよりリアルに感じられた。

 

「まず真実を提示し、その是非を問うべきだ。」

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何かとスノーデンを気にかけてきた優しい人物に思えたCIAの指導教官コービン・オブライエンもまた、腹に一物あり。大写しの画面から「脅し」を含んだ言葉を投げかけるシーンは冷え冷えとした気持ちにさせられた。(顔、でけーよ。)

 

自分だけでなく、リンゼイもその家族も監視されている。その事実はスノーデンを「決断」させる。

 

そうそう、コービンとスノーデンの印象的なやりとりがあった。

 

「安全に遊ぶには入場料も必要なのだ。」と、コービン・オブライアンは言う。

 

「世界秩序」の安定を保つために必要なことなのだから、市民たちは個人情報を監視されるくらいの「不利益」は甘受すべきだということだろう。ある意味ではそれは正しい。情報の収集、管理と監視が必要な場合はあるだろう。

 

しかし。

市民が入場料を払うのは、きちんと案内がされているからだ。入場口には入場料が必要なこととその金額がきちんと明示されているはず。それを理解して、支払ってもいいと思うものだが料金を支払って中に入るのだ。市民たちは何も知らされていない。

 

スノーデンは言う。

 

「まず真実を提示し、その是非を問うべきだ。」と。

 

 

彼は「自分の心の声」に従い、輝かしいキャリア、高給、安定していた生活を捨て、国を捨てる。

 

彼の取った行動が自らの信念と理想に基づいたものであり、それを達成した時に、彼が見せた「笑顔」は、苦悩する表情ばかりを観てきた私の胸を熱くさせた。彼が厳重警備のハワイのデータセンターからいかにしてデータを持ち出したかも、ニヤリとさせられた。ハイテクを破るのはアナログな方法なのだ。これが本当だと言うのだからすごい。

 

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 その他気になったことなど。

ニコラス・ケイジ

ニコラス・ケイジがの教官役で出ている。出演シーンは少ないながら、なかなか印象深く、しかもラストでいいところを持って行ってる(笑)

どうやらかつては非常に優秀だったものの、言いたいことはきっぱり言う性格が疎まれてか、今は閑職に追いやられているらしい。変人っぽい雰囲気満々(笑)

 

今はモスクワに

 

スノーデンは現在モスクワ在住。アメリカ国籍は失われ、ロシアを出れば逮捕されてしまう。リンゼイを呼び寄せて一緒に暮らしているらしいが、よりによってロシア…。案の思惑もなくあの国が滞在を認めるとは思えないのですが…。

 

本人が登場

 

あれ??と思ってるうちにジョゼフ・ゴードン・レヴィットがエドワード・スノーデン本人に変わっていた。本当に「普通の人」。本人の顔は初めて見たがジョゼフがかなり似せてきていていることがわかる。

 

『シチズン・フォー』

 

スノーデン事件をテーマにしたドキュメンタリー作品もあるらしい。なんとアカデミー賞を受賞したそうです。これはぜひ観てみたいなぁ。

 


シチズンフォー スノーデンの暴露 [ エドワード・スノーデン ]