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『LION ライオン 25年目のただいま』/グーグルアースがもたらした奇跡の再会。実話を元にしたウソみたいな本当のお話。【ネタバレあり】

今日の映画は『LION ライオン 25年目のただいま』

公開初日、Tohoシネマズ新宿にて鑑賞。

第89回アカデミー賞に6部門にノミネートされました(作品賞、助演男優賞、助演女優賞、脚色賞、撮影賞、作曲賞)。残念ながらノミネートのみで獲得はならず…。

5歳でインドで迷子になった少年がオーストラリアに養子にもらわれていき、グーグルアースを使って自分の住んでいた家と家族を探し出す。

そんなウソのような本当の話を元にした作品で、ものすごくいい映画だった。

実話を元にした映画っていいですよね。私は大好きです。

▼実在する人物の半生を描いたオススメ作品です。

【伝記映画傑作選】ドラマチックな生涯を生きた人々の実話。実在の人物の生涯を描いたおすすめ作品20選。

何度も泣きのポイントがあり、ハンカチ出動することしばしば。心に刺さるシーンがいくつかあったのですが、一番深く深く突き刺さったのはタイトルの意味が明かされるところ。(※詳細は記事の下の方に記載しています。ネタバレしたくない方はご注意を。)

久しぶりに気持ちいいほどに泣いた。

いい映画を観て心から感動して泣ける、って何度経験しても素晴らしい。

ちなみに私の隣の隣に座っていた中年男性の泣きっぷりがハンパなかった。

泣きのツボは私と同じらしくて私がグッとくると件の男性が盛大に鼻をすすり始める。終盤は号泣していた。あまりに激しく泣くので微笑ましい気持ちになった。

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『LION ライオン 25年目のただいま』

基本情報

監督:ガース・デイビス

出演:デブ・パテル/ルーニ・マーラ/ニコール・キッドマン

製作:2016年/オーストラリア

キャッチコピーは

「迷った距離1万キロ、探した時間25年間、道案内はGoogle Earth」

主演のデブ・パテルは『スラムドッグ・ミリオネア』で主演をつとめた少年。すっかり大人になった姿に嬉しくなってしまいます。(時の流れを思うと哀しくなります…。)

デブ・パテルの次回作は『Hotel Mumbai』

2008年にインドのムンバイで起きた同時多発テロを描く作品で、オーストラリアの映画監督アンソニー・マラスがメガホンを撮ります。

高級ホテルや鉄道の駅など複数の場所で発生した恐ろしいテロ。実際に起きた事件がどのように描かれるのか、今から注目が集まっています。

 あらすじ

インドで迷子になった5歳の少年が、25年後にGoogle Earthで故郷を探し出したという実話を、「スラムドッグ$ミリオネア」のデブ・パテル、「キャロル」のルーニー・マーラ、ニコール・キッドマンら豪華キャスト共演で映画化したヒューマンドラマ。1986年、インドのスラム街で暮らす5歳の少年サルーは、兄と仕事を探しにでかけた先で停車中の電車で眠り込んでしまい、家から遠く離れた大都市カルカッタ(コルカタ)まで来てしまう。そのまま迷子になったサルーは、やがて養子に出されオーストラリアで成長。25年後、友人のひとりから、Google Earthなら地球上のどこへでも行くことができると教えられたサルーは、おぼろげな記憶とGoogle Earthを頼りに、本当の母や兄が暮らす故郷を探しはじめる。

LION ライオン 25年目のただいま : 作品情報 – 映画.com

▼原作もあります。

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感想(ネタバレあり)

実際に起こった出来事でなければ「ご都合主義」と言いたくなるような奇跡のような物語。

二人のすばらしい母を持つ幸せな息子の物語でした。

1600キロ離れた町で迷子に

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まず心に刺さったのはインドで暮らしていたサルーの暮らしぶりだった。

兄グドゥと一緒に貨物列車の乗り込んで石炭を盗み、盗んだ石炭と交換で牛乳を手に入れる。

屋台で売られている赤い焼き菓子にサルーは目を奪われ兄にねだるが、お菓子が買う余裕はサルー一家にはない。

家に帰れば優しい母と幼い妹。父親はいないらしい。

母は牛乳はどうしたのか尋ねるが、兄は本当のことは言わない。しかし真実を見抜いているらしい母は哀しさで顔を曇らせるが、兄弟を咎めたりはしない。

そうしなければ牛乳など飲めないほどに貧しいからだ。牛乳を飲もうとしない母に自分の分を差し出すサルー、全部サルーに飲ませる母。

ぼろぼろの家で身を寄せ合うように貧しい暮らしをしている一家。生活は苦しいが温かい家族だということがわかる。

この家族がこの後、離れ離れになるのかと思うと、それだけで胸が切り裂かれそうになった。

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ある日。サルーは一緒に出かけた兄とはぐれて迷子になってしまう。うっかり違う電車に乗り込んでしまったのだ。移動距離は1600キロ。着いた場所は大都市カルカッタ。

ここから先は胸が痛くなるようなサルーの迷子のパートが続く。

たった5歳の子どもが大都市をさまよい歩き、泣きながら道端で眠りにつく姿はひたすら心が痛い。その一方で5歳の子どもが一人で生きのびようとする逞しさには舌を巻いた。

予想していた以上にこの子供時代が長かったのですが、日本とはまるで違うインドの国事情に驚かされた。

日本であれば迷子がいれば警察に連れて行き、親からも捜索願が出されて見つからないケースはほとんどなさそうだけど、インドは事情が違う。

幼い子供が街を彷徨っていても泣いていても、大人たちは知らんぷり。それもそのはずで、カルカッタの町にはストリートチルドレンが溢れている。

行き場のない子供たちに救いの手が伸ばされないどころか街は危険が溢れていて、人さらい集団に襲われたり、優しそうな顔をしてサルーを売り飛ばそうとする女性までおり、さらには孤児たちを収容する施設の環境は劣悪…。

様々な危険にさらされながら、サルーがオーストラリアの良識的な夫婦の元にもらわれていったことは奇跡としか思えなかった。

『スラムドッグミリオネア』でも描かれた大人たちに食い物にされ搾取されていた子供たちのことを思い出した。

さらわれた子供たちは、施設の子供たちはあの後どうなったのだろう?すべてを諦めたような眼差しで歌を歌っていた子供たちの姿が焼き付いて離れない。

サニー・パワール

サルーの幼少期を演じたサニー・パワールはインドのムンバイの学校に通う子供。イメージに合う子供をスタッフが必死に探し数千人の中から選ばれたそう。

物語の性質上、幼い子供を起用することは必須であり、演技のできる5歳の子どもを探すのは大変だったそうです。

今後はデミ・ムーアとの共演作も決まっているそうです。 駅の窓口で必死に切符を買おうとする姿や泣き疲れて眠りにつく姿は演技とは思えなかった。

新しい両親に愛されて

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サルーははるばるオーストラリアの夫婦に養子にもらわれていく。

本作で養母スーを演じたニコール・キッドマン(アカデミー助演女優賞ノミネート)が素晴らしかった。

スーと夫のジョンがサルーを空港で出迎えるシーン。二人の姿が見えた瞬間に泣いてしまった。

二人がすでに「親」としてそこにいたから。

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スーはサルーに出会った時から「母親」だった。その時初めて会うサルーをスーは「母」として強く抱きしめていた。

自分が産んだ子供でなくてもサルーは待ち望んでいた子供なのだなぁと、この時点では養子をもらうに至った理由は語られないのだが、愛情に溢れた二人の姿に深く感動した。

血が繋がっていても憎み合う親子もいるし、血の繋がりがなくとも親子の絆は生まれる。愛に満ちたスーの姿は母の愛の素晴らしさ、尊さを教えてくれた。

だからこそ、実の家族を探すことを言えないサルーの葛藤も痛いほどわかった。実母を探すことはスーを傷つけること、サルーはそう考えた。

サルーはタスマニアの雄大な自然の中で夫婦の愛につつまれて幸せに育っていくが、それでもやはりインドにいる家族への想いが断ち切れるはずはない。

実母や兄と過ごした日々を夢に見て、脳裏にはふと幼い日々の思い出がよぎる。

25年間、自分を探し続けているであろう実の家族への思いは募り家族の貧しさを思うと今の幸せも素直に受け止めることができない。

彼は当時の電車のスピードと乗っていた時間から移動距離を割り出し、かすかな記憶をたどりながら憑りつかれたようにグーグルアースで生家を探し始める。そして数年後にようやくその場所を見つける。

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スーを思うがゆえにサルーは彼女に内緒で実の家族を探して来たのだが、スーはサルーが思うよりもずっと強く深い愛情を持つ女性だった。

夫妻にはもう一人インドから迎えた養子がいる。名前はマントッシュ。メンタル面で問題を抱えている。

彼に何があったのか描かれないが前半のインドの劣悪な環境を観る限り、かなりひどい目にあってきたのだろうと思う。

サルーは「僕たちは過去を背負ってもらわれてきた」からスーを苦しめているという。「本当の子ども」が持てたなら苦しみは味わわなくてよかったのに、と。

スーはサルーに養子を迎えた理由を話す。

それは私が思っていたものと違っていて、ちょっと驚いた。

しかしその決断は言葉で言うほどに簡単なものではないので、そこに至るまでにかなり辛い経験をしてきたのではないか、と思った。

僅かに語られたスーの子供時代のエピソードからも感じた。スーは「過去」も含めて二人の養子と家族になる覚悟をしていたのです。

「立派になった息子をお母様に見せたいわ。」

スーはそう言ってためらうことなくサルーをインドへ送り出す。

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ニコール・キッドマンはいつも映画の中で圧倒されるほどの美しさで観客を魅了するような女優だった。少なくとも私の中ではそんなイメージ。

本作では髪型のせいもあるのか(本人に似せてるみたい)、彼女自身が年齢を重ねたせいもあるのか、威圧するほど美を見せつけるのではなく、ごくごく普通の母親に見えた。

若い頃よりも今の彼女の方が私は好きだな。昔よりも人間味を感じる。

本作を含む4度のオスカーノミネート経験を持ち、『めぐりあう時間たち』でオスカーと獲得したニコールは、ミニシリーズ『ビッグ・リトル・ライズ~セレブママたちの憂うつ』では製作に携わっています。

奇跡の再会

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何年もかかって見つけ出したかつての自分の家。

実話を元にしたというのでなければ「都合よすぎ!」と思ってしまうに違いない奇跡の瞬間が訪れる。息子を帰りを信じて引っ越さずに待ち続けていた母カムラと美しい女性に成長した妹シェキラとの再会。

その一方で明らかにされる哀しい現実。

兄グドゥはサルーが迷子になった日、列車にはねられて死んでいた。

あの日眠るサルーを愛しそうに大事そうに抱きかかえていたグドゥを思い出した。

あの優しい兄はもういないのだ…。

そしてタイトルの意味が明らかにされる瞬間は、予想もしなかった展開に震えが来るほどだった。

幼いサルーは自分の名前を間違って覚えていた。

 

彼の本当の名前はシェルゥ。その意味は「ライオン」

 

反則的なほどに素敵すぎる。隣の隣の席に座る男性の泣きっぷりのすごかったが私も負けてなかったと思う。

 

インドで生まれながらもオーストラリアで育ったサルーがインド料理を食べるのもうまく食べられないシーンがあった。育った地域の言葉も今はもうあまり話せない。

自分はインド人なのか、オーストラリア人なのか。養母を愛し心から感謝しているのに、実母のことも恋しい。

二つの国と二人の母のあいだで葛藤を続けてきたサルーがようやく自分のあるべき場所、あるべき姿を見つけたのかなと思った。

 

映画のラストには実際のスーがインドのカムラを訪ねるシーンがあります。

二人の母が抱き合うシーン。セリフ等は聞こえてこないけれど、お互いが「ありがとう。」と言っているように見えた。

今はサルーはインドとオーストラリアを行ったり来たりして二人の母を大切にしているらしい。

エンドロール後の「兄グドゥに捧ぐ」の言葉に重ねて号泣してしまった。

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 まとめ&気になったこと。

様々な不運が重なってサルーは迷子になってしまった。

母親の名前も苗字も覚えておらず、住んでいた町の名前も間違って覚えていた。(ガネストレイは正しくはガナッシュ・タライ)

その一方で考えられないような奇跡が重なって”あるべき場所”に戻ることができた。

グーグルすごい!

と思った。検索すれば昔のインドの電車のスピードまで調べられる。

そう言えば、昔は調べ物をするときは図書館で調べたが、今は何でも検索だもんな。電車の時刻や乗換もいちいち自分で調べてたのよ。(と、おばちゃんの昔語りみたいな…)

これが現代でなかったら、サルーは生涯生家に戻ることはできなかったのだろう。テクノロジーの進化はすばらしい。変わることのない家族の愛もすばらしい。

実際にはサルーにはグドゥのほかにカルゥという兄がもう一人いたようです。このカルゥが母と妹を支えてきたとのこと。カルゥとのサルーの再会シーンも観てみたかった気がしますね^^

▼ルーニ・マーラ演じる彼女がとてもかわいい。

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本文中では触れられなかったのだけど、サルーの恋人を演じたルーニ・マーラも素敵だった。

気まずくなりそうな話の流れをさらっと変えてくれた機転のよさ、おどけてスキップを踏む姿もチャーミングだった。「見つけたよ。」と報告をしたときに見せた笑顔も。

ルーニ・マーラは1985年生まれの32歳の若さながら、『ドラゴンタトゥーの女』『キャロル』で二度のオスカーノミネート経験を持ちます。

女優のケイト・マーラは姉で、ケイトはドラマ『ハウス・オブ・カード』で野心的な記者ゾーイを演じました。姉のゾーイの方がよりはっきりした顔立ちをしていますが、雰囲気は似ています。どちらも好きな女優さん。美人姉妹の今後の活躍に期待したいです。

インドでは毎年8万人もの子供が行方不明になるのだそうです。

想像を絶する数字なのですが、あのカルカッタの状況を見る限り十分ありうる感じがする…。

ネットフリックスでカルカッタの子どもたちの過酷な生活を描いたドキュメンタリー映画を見つけるので、気持ちに余裕があるときに観てみようと思っています。

世界中の子供たちに幸せが訪れるように、祈るような想いになりました。

毎度のことながら、長い記事です!読んでくださってありがとうございました!

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