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『ムーンライト』/月光に包まれた美しい夜。第89回アカデミー作品賞受賞作品。

 

第89回アカデミー作品賞を受賞した作品。

受賞作品発表の際に『ラ・ラ・ランド』と間違って発表されてしまうという前代未聞のトラブルもまだ記憶に新しいところ。

『ラ・ラ・ランド』/かつて見た美しい夢。アカデミー賞史上最多タイ14ノミネート!6部門受賞!

とても美しい作品だった。

孤独で純粋なたましいを持った少年が、大人になっていく物語。

心を切り裂かれ踏みにじられる哀しい出来事、そっと寄り添ってくれた大切な人、誰かを切実に愛したこと。

自分自身の人生の中にもかつて存在したかもしれない大切な「何か」に想いを馳せずにはいられなかった。あまりに美しい結末に涙がこぼれました。

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『ムーンライト』

基本情報

監督:バリー・ジェンキンス
出演:トレバンテ・ローズ/アシュトン・サンダース/アンドレ・ホランド/ナオミ・ハリス/マシャーラー・アリ
製作:2016年/アメリカ

助演男優賞を受賞したマシャーラー・アリは『ハウスオブカード 野望の階段』でレミー・ダントンを演じた人。シーズン4であんな事態になってしまったので、シーズン5が今から待ち遠しいのです。(来月5月20日配信開始!)

シャロンの母親を演じたのははナオミ・ハリス。(アカデミー助演女優賞にノミネート)ドラッグ中毒で育児放棄という役どころでしたが、観たことあるなと思ったら『28日後…』でゾンビに追われてたか。『OO7』のミス・マネーペニーなど。

あらすじ

マイアミを舞台に自分の居場所とアイデンティティを模索する少年の成長を、少年期、ティーンエイジャー期、成人期の3つの時代構成で描き、第89回アカデミー賞で作品賞ほか、脚色賞、助演男優賞の3部門を受賞したヒューマンドラマ。マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校では「チビ」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケヴィンだけ。やがてシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが、自分が暮らすコミュニティではこの感情が決して受け入れてもらえないことに気づき、誰にも思いを打ち明けられずにいた。そんな中、ある事件が起こり……。母親ポーラ役に「007」シリーズのナオミ・ハリス、麻薬ディーラーのフアン役にテレビドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」のマハーシャラ・アリ。プロデューサーとしてアカデミー賞受賞作「それでも夜は明ける」も手がけたブラッド・ピットが製作総指揮。本作が長編2作目となるバリー・ジェンキンスがメガホンをとった。引用:ムーンライト : 作品情報 – 映画.com

 感想(ネタバレあり)

ドラッグによる家庭崩壊、育児放棄、虐待、虐め、そしてLGBT。

いくつもの深刻なテーマを取り扱っており、淡々として進んでいく物語なのですが決して退屈するわけではなく、タイトルにある「ムーンライト」=月光を思い起こさせる「青」に彩られた美しい物語だった。

親切な映画ではなく、無口な主人公は多くを語らず、他の登場人物も多くを語らない。

シャロンという一人の男性の人生で起きたさまざまな出来事をたんたんと描き出していくのですが、そのどのエピソードにも無駄がなく、惹きつけられて止まなかった。

観客に親切すぎて過剰になった映画は時にうるさく感じてしまう。本作にはそれがなく、波の音に身を任せ、月光に包まれている気持ちになった。

何度も何度も切りつけられるような辛いシーンに遭遇するが、クライマックスでシャロンが許し、自分自身を解放した時は涙がこぼれてしまった。

ようやくココにたどり着いた。そう思った。

 第一章:幼少期のシャロン

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幼いシャロンはほとんど口を利かない。

母親はドラッグ中毒で育児放棄状態にあり、学校ではひどいいじめにあっている。ドラッグの取引も行われる危険な廃墟に震えながら隠れているときに見つけてくれたのがドラッグ売人のファンだった。

ファンはシャロンに食事を与え家に帰りたがらないシャロンに一夜の宿を提供する。この後、ファンとその妻テレサは数少ないシャロンの理解者となる。一心不乱、という表現がぴったりなシャロンの食事風景。小さな子どもがよく食べるものだと思った。まともに食事が与えられていない養育環境の劣悪さが感じられる。

翌朝自宅へ送って行ったファンへの母の態度…。帰りたがらなかったのも無理はない。

 

▼「青」で彩られた作品の中で、母親の部屋は毒々しいピンクの光を放っている。

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ドラッグに溺れ育児放棄をし、シャロンの心を切り裂く言動や行動を繰り返し、ドラッグのために売春までする母親だが、夫の姿は見えない。まったく語られないがドラッグに溺れるまで彼女には彼女のドラマがあったのだろう。

シャロン本人が自分の性的嗜好にまだ気付いていないというのに、母親だけでなく幼い子供たちがそれに気づいているのが少し驚きだった。母曰く「歩き方」でわかるのだそうだ。少数者であることを見抜かれるとここまで苛烈な虐めに遭遇するのか…。自分が自分自身である、ごく当たり前のことで、責められるいわれはないというのに…。

「オカマって何?」「ゲイを不快にさせる言葉だ。」

シャロンの質問に対するファンの対応に優しさと誠実さを感じた。

この質問、この瞬間がシャロンの人生の中で大事な瞬間であることを理解している。貶めず否定せず傷つけないように言葉を選んでいるのが伝わってくる。

しかしシャロンを取り巻く現実はどこまでも残酷だ。

「ファンはドラッグの売人なのか?」と問われて、自分を恥じるように顔を伏せるファン。数少ない心のよりどころを提供してくれた人物は、母親にドラッグを売りつけており、母を狂わせている張本人でもあるのだ。シャロンは何も言わずに去っていく。

ふと思った。ファンは自分で売人の道を「選んだ」のだろうか?自分の道は自分で決めろ、周りに決めさせるな、と砂浜でファンが語った言葉はかつての自身に言いたかった言葉でもあるのかもしれない、と。シャロン、そしてケヴィンという少年が唯一の友人で、ケヴィンはシャロンの人生において大きな意味を持つ人物になる。

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  第二章: 少年期のシャロン

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第二章に入ったら、ファンがいなくなっていることに驚く。

登場人物の会話からどうやら亡くなったらしい、とわかるだけで説明は何もない。その後もテレサとの交流は続いており、彼女は食事を与え家に泊めてお金を持たせる。

二人のベッドメイクのシーンが好きだった。相変わらず無口で無表情なシャロンだけど、わずかな表情の変化がテレサが彼にとってかけがえのない人物であることがわかる。 自宅に戻ればドラッグの禁断症状に陥った母親が待ち構えており、テレサにもらったわずかなお金も奪われてしまうのだが、母親に見せる哀しみと軽蔑に彩られた表情とテレサへの表情とのギャップが痛々しい。

テレサに見せた年相応の少年らしい表情こそが、本物のシャロンなのに。高校生になっても相変わらずシャロンへの虐めは続いており(むしろ激化)、特に虐めの主犯、レゲエ野郎の凶暴さは犯罪レベル。

 

▼真ん中が「レゲエ野郎」

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友達は相変わらずケヴィンのみで、シャロンはケヴィンに友情以上の感情を抱くようになる。二人は砂浜でかけがえのない夜を過ごし、シャロンの人生にわずかな明かりが射しこんだと思った。

しかし、それは束の間でケヴィンにさえ裏切られてしまう。(ケヴィンの立場では仕方がなかった部分もあるが。) 自分に殴りかかろうとするケヴィンを前にしたシャロンの哀しいまなざし…。「倒れていろ。」と言われてもシャロンは何度も立ち上がる。視線はまっすぐにケヴィンを見据えて離さない。裏切られた哀しみと怒り、そして誇り高さ。虐めの主犯に「復讐」をし警察に連行される時、睨み付ける視線の先にいるケヴィン。

シャロンの心がどれほど切り裂かれたか、想像するだけで苦しくなった。

 第三章:成人したシャロン

大人になったシャロンは王冠のついた車を運転している。この王冠はファンの車にもあった。シャロンが売人と言う道を歩むことになったのは、おそらくファンの影響も大きいのだろう。

シャロンはファンが言い聞かせたように「自分で選んだ」のだろうか。恵まれた人生を歩んでいるとは言い難いが、せめてそうであってほしいと思った。

シャロンが通り名として使っている「ブラック」は、かつてケヴィンが名付けたもの。その名前を使っているということは、あの裏切を経てなお、ケヴィンが特別な存在であることを表している。

レゲエ野郎に復讐して刑務所に入れられたあの日とおなじようにシャロンは氷水に顔をつける。怪我をしていなくても。それは自分の中の何かを抑え込む儀式のようにも見えた。あの日からずっと会うことがなかったケヴィンに思いがけず再会する日がやってくる。テレサに連絡先を聞いたケヴィンから電話がかかってくるのだ。

 

▼ハグを交わす二人。

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ケヴィンの性的嗜好というのは本作では明らかにはされない。されないが二人の間に特別な何かが流れているのはわかるので、そこは大きな問題ではないのだろう。

ダイナーに行く前にシャロンが身支度を整えているシーン、その心が落ち着かない様子は微笑ましささえ感じてしまった。(食事のあと乗り込んだ車の中でケヴィンが同じようにブラシをかけている姿も忘れがたい。)ダイナーでの二人の時間は観ていてドキドキしてくるほど、濃密で互いの想いに溢れていた。ただ、料理を作っているだけのシーンだが、ケヴィンの表情で大切な人に想いを込めて料理を作っていることがわかる。

「味わわずに飲み干した。」

これはお酒の話だけれども、おそらくは彼の生き方もそんな風だったのかもしれないな、と思った。味わうことなく飲み干すように生きてきた。ゆっくり味わうには苦すぎる人生だったのかもしれない。

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クライマックスのシャロンからケヴィンへの「愛の告白」

「好き」「愛している」こんな言葉を使わなくても愛を伝えることはできるのだ。

シャロンはあの夜以来、誰とも触れ合うことなく生きてきたことを告げる。少年時代から大人になって、ずっと合わなくてもケヴィンとケヴィンと過ごした「あの夜」はずっと特別だった。きっと何度も反芻し、日々の支えでもあったはず。美しい思い出はそれだけで生きる意味を与えてくれることがある。

長い長い旅だった。

シャロンはようやく自分自身を解放することができたのかもしれない。ケヴィンがシャロンを受け入れたらしい様子が最後に映し出され、ほっとした。身を寄せ合う二人は幸せそうで、本当に美しいシーンだった。

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まとめ

シャロンを年代によって3人の役者が演じ分けているのですが、別人なのにふとした表情。特に目を伏せる俯いた表情は見事に3人が同じで驚いた。間違いなく同じ魂を持つ人間のように見えた。3人が3人ともすごい!

母親との和解のシーンも素晴らしかった。この和解があったからこそ、ケヴィンへ想いを伝えることができたのだとも思う。

今はホームに入り、まっとうな人生を歩み始めたらしい母親。随分と小さくなり年を重ねた様子が映し出されたが、全身から攻撃的なオーラを放ち、荒々しい感情をほとばしらせていたあの母はもういなかった。

なぜ彼女がドラッグを止めたのか、その経緯もいっさい語られないが、そこにもドラマがあったのだろう。ファンの死、その後のテレサの人生、逮捕から売人になるまでのシャロンの人生、ケヴィンの人生。映画の中では語られなかった人生にも想いを馳せずにはいられなかった。

以上、『ムーンライト』の感想でした。

まだまだ書きたいことがあるのですが、とりあえず今日はここまで。

毎度のことながら長い文章!

最後まで読んでくださった方、ありがとうございます!

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